英日翻訳ソフト=チューニング・メルマガ【No.167】

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   英日翻訳ソフト = チューニングすればこんなに良くなる!

     No.167  2011.12.15   http://www.aptransways.net/
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読者の皆様、ご購読ありがとうございます。
メルマガ発行者の kawa です。


今回の例文は、南アフリカで開催されたCOP17(気候変動枠組み条約第17回
締約国会議)の状況について伝えるNHK国際ニュースの放送スクリプトの
一部です。


今回の例文
∞∞∞∞∞

Ministers continue discussions on global climate change on the
second day of their meeting in Durban, South Africa.
Japan's environment minister has urged the quick establishment of
a new framework, and it will not join an extension of the 1997
Kyoto Protocol. --- NHK World 2011/12/07

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

上の例文を翻訳ソフト(N社製)の初期設定で翻訳すると、次のような
訳文が出力されました。


「彼らがダーバン、南アフリカで会う2日目に、大臣は地球規模の気候変動
における議論を続けています。
日本の環境大臣は新しい枠組の迅速な設立を駆り立てて、それは1997年の
京都議定書の拡張に参加しないでしょう。」


△△ わかりそうでわからない???


この日本語だけで正確な意味を把握するのはなかなか困難です(ある程度
推測はできそうですが)。不適切な訳語については適訳語をユーザー辞書
に登録することでいくらか改善するはずですが、どの程度わかりやすく
なるかはやってみないとわかりません。


∇∇∇

そこで訳語の問題を解消するために、以下の単語(複合語)を
ユーザー辞書に登録します。

their meeting     (名詞)  会議
Durban, South Africa (名詞)  南アフリカのダーバン
urge         (動詞)  呼びかける
new framework     (名詞)  新たな枠組み
quick establishment  (名詞)  早急な成立
extension       (名詞)  延長

ユーザー辞書への単語登録により、翻訳結果が次のように変化します。

「大臣は南アフリカのダーバンでの会議の2日目に地球規模の気候変動に
おける議論を続けています。
日本の環境大臣は新たな枠組みの早急な成立を呼びかけて、それは1997年
の京都議定書の延長に参加しないでしょう。」


ここで、1つ予想外の問題がありました。
「会議」という名詞ですが、最初は<"meeting" = 会議>として登録した
のですが、単語登録しても翻訳結果に訳語が反映されなかったので、
急遽、<"their meeting" = 会議>として登録し直しました。

これにより多少はわかりやすくなりましたが、英語を単語単位で直訳した
だけなので、まだまだ自然に読める日本語にはなっていません。


そこで、∇∇∇

この訳文を、筆者の Web サイトに用意した訳出文リライトツール
(デモ版)を使って書き直してみます。


上記の翻訳結果(訳出文)を以下の URL にあるテキストエリアに貼り付
けて、[リライト実行] ボタンをクリックしてください。

http://www.aptransways.net/APN.htm

すると、訳文が次のように書き直されます。


「南アフリカのダーバンでの会議の2日目、大臣は地球規模の気候変動に
関する議論を続けています。
日本の環境大臣は新たな枠組みの早急な成立を呼びかけて、それは1997年
の京都議定書の延長には参加しないでしょう。」

まだ完全ではありませんが、より本来の意味を推測しやすい訳出文に
なったのではないでしょうか。

最後に、このリライト結果を自分の手で再修正します。


∇∇∇ 修正例

「南アフリカのダーバンで開かれている会議の2日目、各国の大臣が
地球規模の気候変動に関する議論を続けています。
日本の環境大臣は新たな枠組みの早急な成立を呼びかけて、日本は1997年
採択の京都議定書の延長には参加しないと述べました。」


第 1 文での要注意ポイントは、"Ministers"(大臣)が複数形であること
です。翻訳ソフトによる直訳の段階では単に「大臣」となっているだけ
なので、それだとどこの大臣(どの大臣?)かという疑問が生じてしまい
ます。決して日本の大臣を意味しているわけではありません。

実際には複数の大臣であることがわかるような日本語にする必要がある
ので、「各国の大臣」としました。

第 2 文では、後半の代名詞 "it" を具体的な名詞(ここでは「日本」)に
置き換えないと自然な日本語になりません。
つまり、「それは~には参加しない」よりも「日本は~には参加しない」
とした方がわかりやすくなります。

あと、より自然な日本語にするために、第 2 文の末尾を少しだけ
意訳して、「~と述べました」という表現を加えました。

今回は、翻訳ソフトやリライトツールだけでは対応できない箇所がある
ために、いつもより少し多めの手修正が必要になる事例でした。


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※ 訳出文リライトツールには多少の柔軟性を持たせてありますので、
試しに名詞や動詞などを別の単語に変更してみるとどうなるか、遊んで
みてください。

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  編集後記
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結局、COP17は具体的な合意を大幅に先送りして閉幕したようです。ただ、
すべての国が参加する新たな枠組みを構築するための作業部会が設置され
るとのことで、まったく無駄でもなかったそうです。

それにしても、新たな枠組みは2020年の発効を目指すというのは、
そんなにのんびりしていていいのだろうかと思ってしまいます。

最近では、地球温暖化の原因はCO2排出だけではないという学説もよく耳に
しますので、もしそうだとしたら、この会議も愚かな人類のエゴの
ぶつかり合いに過ぎないのかと思えてしまいます。


次回は、12月23日(金)から12月30日(金)の間のどこかで配信する予定
です。


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